saikaanin’s diary

転職ばかりしていたわたしの過去

11.紫の雨③

ゲイリーの読み書きの上達とともに、マリアのボクシングの 腕も上がって行く
2人にとってこの二つの習慣はなくてはならない事になっていた

「なあ、マリア一つ教えてくれねえか。嫌なら話さなくてもいいよ」
「…?」
「なんでそんなに熱心にボクシングをするんだ?」


「自衛のためよ」


「私いままで付き合ってきた男たちに嫉妬とかプライドとか
わけのわからない理由で殴られて…それがイヤでたまらなかったの」

「……」

「だから最初、あんたにも随分警戒してたんだ。
けどその熱心に、勉強する 姿みてたら大丈夫かなって。」
ゲイリーはマリアが顔のあざを巧みにそれとわからないよう
化粧でかくしているのに気づいていた

ダイナーの窓ガラスに水滴がぽつぽつ張り付く

「雨…やだなあ濡れるの」
話題を変えるかのようにマリアがつぶやく
ゲイリーは勢いこんだ口調で
「俺のアパートここから近いんだ。コーヒーでも飲みに来ないか?」
マリアはプッと噴き出した
「それは嬉しいけどコーヒーはここでもうたくさん飲んだからいいよ」
ゲイリーはたちまちがっかりした表情で
「そうだな俺も腹がだぶだぶだ」
マリアはさらにこみ上げる笑いを抑えようとしていたが
ついに耐えられず札と小銭をテーブルに置き
それからゲイリーの手をとり表へでた
外で更にけらけら笑うマリアにちょっとむっとしたゲイリーは
「ちぇっなんだよ、なにがそんなにおかしい?」
「あははは、ゴメンゴメンよ。あんたのその子供みたいな
正直な表情が…」
そしてマリアはしっかりゲイリーの手を握りしめ
「おなかだぶだぶだけど、あんたのアパートでコーヒー飲みたい」