saikaanin’s diary

転職ばかりしていたわたしの過去

12.紫の雨④

「ミスターウォン!」
「あ、呼んだ?」
「こちらにあなたのインフォメーションを登録して」
金髪碧眼のナイスガイがショーターにタブレットを渡す

免許証、カードナンバーなど必要事項を入力していく

ボクシングには以前から興味があったショーター
いくつかのジムを見学し、どこにしようか迷いはじめた



昨日ここでスタッフの説明を受けていた時
何気なく見たリングの中にいる
女に目がとまった
プロかとみまがうほどの動きだ

そして、彼女はスパーリングが終わると
ヘッドギアを外し、首を2.3度ふる…
匂い立つようような黒髪と、野性的な目が
現れた


ショーターはぼうっと見とれてしまい
見学の案内をしていたスタッフの説明が
全く耳にはいらなかった
(ここに決めた!)
しかしこんな時に限ってカードだの必要書類だの持ち合わせていない…
即入会というわけにはいかなかった
(SHIT!)

おまけにマーディアはチャーリーとデートの日だった
早くかえらないと店の準備もある
(やれやれ、姉貴のたまの休みフイにさせるわけにはいかねえしな)
ショーターはとぼとぼとジムを後にした