saikaanin’s diary

転職ばかりしていたわたしの過去

8.マリアとゲイリー②

ゲイリー用にマリアは絵本を買いに書店へ向かう。
誰かに絵本を買うなんて実はマリアは初めてだ

2人は夜からの練習後ダイナーで勉強をする
絵本を開きマリアは丁寧にゲイリーに読み、書き
を教える
彼は文字を覚えはじめると
恐ろしく早く吸収していった
「ゲイリー集中力がすごいね。ボクシングに
通じるものがあるよ。」
マリアは率直に意見を述べた。そして彼の方を見ると
はにかんだ表情
「ふふ、そうそう今日はもう一冊あるんだ。私が子供の頃大好きだったの」
"THE CAT THAT LIVED A MILLION TIMES”(百万回生きた猫)

百万年もしなないねこがいました。
100万回もしんで100万回もいきたのです。
りっぱなとらねこでした。
100万人の人がそのねこをかわいがり
100万人の人がそのねこがしんだときなきました。
ねこは1回もなきませんでした

ねこはしぬのなんかへいきだったのです

この物語は主人公のとらねこが100万回生き死にを繰り返し
誰のものでもなくなったとき運命のめすねこと出会う
二匹は愛し合い、たくさんの子供が生まれ
とても満ち足りた日々をおくる
ある日めすねこはとらねこの横でしずかに動かなくなった

とらねこははじめてないた
朝も夜も…100万回もないた
やがてめすねこのよこで彼もしずかに動かなくなった

そして彼はけっして生き返らなかった

マリアはこの絵本をこどものころ母や父に何回読んでもらっただろう
久しぶりに自分で声にだして読んでみると、小さかった自分の姿が浮かんでくる
一瞬ゲイリーの存在を忘れてしまったようにマリアはぼんやり空をみていた
「リズム感があって面白いよ。シンプルな話なのに、なんだろう
胸にぐっとくるね。マリアありがとう」

ゲイリーの言葉にはっと我に返り
「ほんとにそうなの。さすがゲイリー私と趣味が合うわね」
「このとらねこ、なんか俺に似てる」
「そうねー、しぬのなんか平気っていうふてぶてしいところがね」
「えっ!ひでえや」
2人は小さく笑いあった