saikaanin’s diary

転職ばかりしていたわたしの過去

24.堕天使②

廃墟となったビルディング
安全で美しくなったとはいえ
ニューヨーク市にはまだいくつも
残っている
ショーターは静かに車から降り
アッシュから教えられた場所へ行く
「ショーター、彼女は2階にいる。アレックスとコングが
天井の通気孔と向かいのビルから見張ってる」



「よお…、勇ましいメスライオン、なんで
俺の仲間に銃を向けた?
そーいやあ、あんた張大飯店に出入りしてたな
ショーターの女か?
まったく・・・あのモヒカン野郎最近ずいぶん
お盛んなこった。台湾からきた子猫ちゃんとも
随分いちゃいちゃと…」
そのセリフを言い終わるが早いか
オーサーはマリアのほほを鋭くひっぱたいた
「なに黙ってやがる!ええ?そのキレイな喉
引き裂かれたいか!!」

ツーと細い糸のような血がマリアの口から流れる

「ショーターも、あの娘も関係ない。
殺したきゃ私のこと殺せばいい・・・」

「うそ言ってんじゃねー!このクソアマァー!」

銃声が響き、マリアの後ろに立っていた男がどうっと倒れる
と、同時にマリアも縛り付けられていた椅子ごと横倒しになった
ドアが勢いよく蹴破られ
「オーサー何やってる?俺のシマで?さっさと
その女を解放しろ!」
アッシュがぴたりとオーサーの額に銃を向けている
「アッシュ?!」

「はっ・・・!アッシュ、この女が俺のダチを撃とうと
したんでちょっと締め上げてるだけさ。
アンタが、出る幕じゃねーよ」
「じゃ、俺が警察へ連れてってやる。
もうすぐ連中が来るからな」
表でパトカーのサイレンの音がする

「ちっ!」
倒れた男が膝を抱えうーうーうなっている
オーサーと別の二人はその男を抱え
パトカーの音が建物の前で止まる頃には姿を消していた

「アッシュ!マリア!!」
ショーターが二人のところへ駈け込んでくる
「マリア良かった無事で!!」
マリアはショーターとアッシュを冷ややかな
目で見ると
「あんたたちの、こんな騒ぎにゲイリーは
巻き込まれたんだね」
アッシュは目を伏せ、そして部屋に入ってきた
チャーリー達にマリアを引き渡した

「チャーリーはなにもかも知っているし
マリアもすぐに解放されるだろう。
ゲイリーの母親の故郷がオーストラリアなんだ
2人はすぐにそこへ移ってもらう。
マリアをこんな目に合わせたのは俺たちの
責任なんだ・・・」

アッシュはショーターの肩をポンとたたき
メモをわたす
「ボーンズがイージュンをこのホテルへ送ってくれてる。
日本行きの明日の飛行機のチケットも用意してある。
さよならぐらい言って来いよ」