17.その男ショーター・ウォン④
「おーい、イージュン今日は床磨くぞ
洗剤もってきてくれ。え?どこにあるか知らないって?
ちょっと待ってろ・・・」
ホールを毎日小さい体でちょろちょろ動く
イージュンの姿を、ショーターの友人たち
ボーンズ、アレックス、コングはまるで自分の娘か
妹を見るようににこにこ眺めている
「あ、そうだその真ん中の電球切れてたんだ
イージュン肩車してやるから換えてくれよ。
ー脚立う?それな!この前ボーンズが、持ってちまって
返してくんねえんだ」
とボーンズのほうをニヤッと笑いながらショーター
は見る
「肩車が怖い?俺を信用しろ!!ぜーったい
落っことさねえから」
イージュンは恐る恐るショーターの肩に乗っかり無事に
電球を交換
「そうだよ。俺が椅子に乗ったら電球なんか簡単に
換えられるさ。でもイージュンいい眺めだろ
よし!このまま表へ出よう!」
「いやー!恥ずかしい~!!ショーターのバカー!!」
厨房で卵をカシャカシャ混ぜるイージュン
塩とソイソースを少々入れると、四角いフライパンで
焼き始めた
横でショーターが興味津々で見ている
薄く卵をフライパンへ流し込みくるくる
折りたたむ
「へぇー」
何回かそれを繰り返し、完成した卵焼きを
皿に盛り、大根おろしを添えソイソースをたらり
皆に配ると
「おーっ!」
と歓声が・・・
「うまーい」
「なんだよ、この卵料理?」
イージュンは得意そうにへへへと笑う
そこへマーディアが数日ぶりに、親戚の葬儀の手伝いから帰ってきた
「おかえりなさい!マーディア!!」
「ただいま、イージュンありがとうね!ショーターも
あらアレックス、ボーンズ、コングもいらっしゃい」
「姉貴疲れてんだろ、荷物おいといてもう休めよ」
「あなたたちこそ、大変だったでしょ
ごめんなさいねイージュンN.Yに来た早々で」
「ううん、大丈夫」
「そうさーイージュンが店手伝ってくれたおかげで
客が増えたぜ。ほんっと感謝感激、けどさあお前
夜寝るときはちゃんと部屋のドア閉めて電気消せよ、オマケに
布団かぶらないで腹出しっぱなしでさー、風邪ひくぞ」
一瞬そこにいたみんな、マーディア、イージュン
アレックス、ボーンズ、コングはしんとしてショーターの顔をみた
「ショーター私の寝てるとき部屋に入ってきたの?」
「だからさ、さっき言っただろ電気つけっぱなしで
あ、そうそうヨダレまで盛大にながして・・・!」
「ショーターなんか大っ嫌い!」
イージュンは椅子から勢いよく立ち上がり
ばたばた走って自分の部屋にこもってしまった
「ショーターそれはマズイ」
アレックスがぼそりと言う
「ショーターこっちいらっしゃい」
残された3人に見送られながら
ショーターはマーディアに引っ張っていかれる