saikaanin’s diary

転職ばかりしていたわたしの過去

ショーター・ウォン

19.あなたは私に、あなたが何者であるかを証明する必要はない②

「よお、姉貴そのワンピース着るの久し振り だなぁ…!うん?」 マーデイアだと思い、その後ろ姿に声をかけた ショーターだが、振り返った顔はイージュンだ 「あれ?!お前髪切ったのか?」 「うん、友達が美容師でバッサリ切ってもらったの それと、このワン…

18.あなたは私に、あなたが何者であるかを証明する必要はない①

「ねえ、イージュン今日はお店休み?」 韓国人のイ・ジアが休憩時間に尋ねる 「なに?遊びに行くの」 「実はね・・・」耳打ちされイージュンはちょっと驚き 「えー!大丈夫かな!!」 「アメリカでの貴重な経験になると思うけどな」 とイ少し離れたところか…

17.その男ショーター・ウォン④

「おーい、イージュン今日は床磨くぞ 洗剤もってきてくれ。え?どこにあるか知らないって? ちょっと待ってろ・・・」 ホールを毎日小さい体でちょろちょろ動く イージュンの姿を、ショーターの友人たち ボーンズ、アレックス、コングはまるで自分の娘か 妹…

16.その男ショーター・ウォン③

ショーターは偶然にも半年ほど前にボクシングジムで 見かけた(あの黒髪の女)マリアと知り合いになり 天にも昇る気持ちだ まさかこんな形で・・・再会できるなんてショーターは足げに彼女のところへ通う「よ、どーだい具合は?」 「あ、もう大分いいよ。あ…

15.その男ショーター・ウォン②

その男はショーター・ウォンマリアが目を覚ますと紫の髪の男と、誰か女がいる ここはどこだろう「勝手に連れて来ちまってわりいな。でもぶっ倒れた あんたをあんなところに放っておくわけにはいかなくて・・・ ここは刑事のアパートメントなんだ安心しろ で…

14.その男ショーター・ウォン①

マリアはぼんやりと部屋を眺め ソファーに座っているあれから何日経ったろう 葬儀と警察の事情聴取 ゲイリーの母と二人でいったい どうやってそれらを進めたのか ほとんど記憶にない悲痛な塊をかかえたまま・・・顔が涙とアルコールでべたついている ここし…

13.紫の雨⑤

結局ショーターはそのジムであの黒髪の女 に二度と会うことはなかった 多分入れ違いで退会してしまったか あのときは見学と体験のみだったのかもしれない five months later 5ヶ月後 「ねえゲイリーコインランドリーに行くんだけど 他に洗濯ものある?」 「…

12.紫の雨④

「ミスターウォン!」 「あ、呼んだ?」 「こちらにあなたのインフォメーションを登録して」 金髪碧眼のナイスガイがショーターにタブレットを渡す免許証、カードナンバーなど必要事項を入力していくボクシングには以前から興味があったショーター いくつか…

11.紫の雨③

ゲイリーの読み書きの上達とともに、マリアのボクシングの 腕も上がって行く 2人にとってこの二つの習慣はなくてはならない事になっていた「なあ、マリア一つ教えてくれねえか。嫌なら話さなくてもいいよ」 「…?」 「なんでそんなに熱心にボクシングをする…

10.紫の雨②

ショーターとの張大飯店での初日イージュンはぶっ倒れそうになった翌日寝坊をし、学校へは遅れてしまった…「イージュンどうしたの?」 韓国人のイ・ジアが声をかける イージュンはぼうっとした頭で 「うん、寝過ごしちゃった」 フレンチガールのジャニが 「…

9.紫の雨①

ショーターは人使いが荒いマーディアは英語を勉強中のイージュンを気遣い 仕込みや買い出しなんかさせなかったショーターは違う「店をでてまっすぐ1ブロック歩いたとこを左へはいると”景気商行”って店がある。 そこで〇〇と△△を買ってきてくれ。帰ってきた…

8.マリアとゲイリー②

ゲイリー用にマリアは絵本を買いに書店へ向かう。 誰かに絵本を買うなんて実はマリアは初めてだ2人は夜からの練習後ダイナーで勉強をする 絵本を開きマリアは丁寧にゲイリーに読み、書き を教える 彼は文字を覚えはじめると 恐ろしく早く吸収していった 「ゲ…

7.マリアとゲイリー①

マリアは3件目のボクシングジムを後にすると スマホの画面で次の場所を確かめた「ファイト・クラブ」(なんかそのまんまのネーミングだねえ…) フロントで説明を受け見学をさせてもらう リングの中でスパーリングをしている 浅黒い肌の男に視線が吸い寄せら…

6.黄色い砂⑥

「ショーター別にいいのよ、お店は閉めてもらって ほんの数日だし、ただあの子の様子を見てもらえれば…N.Yに来た ばかりで、たった一人にするわけにはいかないし」「ええー!マーディア大丈夫だよお。一人で。学校も明るいうちに終わるし 、絶対一人で夜遅く…

5.黄色い砂⑤

ネイティブのように話すにはずいぶん時間が かかる 語学学校に通いながらいつも思うことだ 今日は店(張大飯店)が休みの日だ(図書館で英語の勉強でもするか!!) 語学学校で録音した授業を聴き返し 耳を英語にならすフトショーターのことを思い出し、あの…

4.黄色い砂④

ショーター! マーディーの弟!!ショーターはガラッと態度を変え たちまち優しい笑顔で「悪い、とんだ初対面だな! ようこそN.Yへ」大きな体、モヒカン狩り…なのに全く威圧感がないイージュンは部屋に戻りスケッチブックに さっきのショーターの様子をさらさ…

3.黄色い砂③

マーディアの弟ショーターのいないまま1週間が たちイージュンは学校と、張大飯店の手伝いの 忙しさに彼の存在を、すっかり忘れていたある深夜の出来事イージュンはぐっすり眠っていたが、大きな音で 目が覚めた荒々しい気配が階下でする声をおさえようと話…

2.黄色い砂②

学校まで、地下鉄で移動する整備された台湾の美しい地下鉄に慣れている イージュンには 暗くお世辞にもきれいとは言えない ニューヨークの地下鉄は異世界への入り口 のように見える語学学校のクラスは インド人、韓国人、日本人、中国人、フランス人と 多人…

1.黄色い砂①

For Ash shorter and Eijiニューヨークシティは マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、スタテンアイランド の5つのエリアから、成り立っている ホァン・イージュン(黄・怡君)は飛行機の窓から見下ろす景色に 目を輝かせ (あー!アメリカ……